アルティメット公式ルール

12. レシーバー及びポジション

  1. 12.1. 選手が回転していないディスクを少なくとも 2 つの身体部分の間に挟んだ状態を「キャッチ」とする。選手は、キャッチによってディスクの所有権を確立することができる。
    解釈:ディスクのキャッチ

    ディスクのキャッチ

    選手がパスの所有権を確立するのは以下の場合である。

    • パスをキャッチし、そのキャッチした状態を 1 回以上目に見える形で維持した場合。
    • キャッチに関連して地面と接触している間、またはディスクを投げるまで キャッチを維持している場合。

    補足:ディスクが「挟まれた」と判断されるには、ディスクが少なくとも 2 つの身体部位の間にしっかりと保持され、その 2 つの身体部位に対してディスクは動いてならない。

    まず選手がパスをキャッチし、所有権を確立する前にキャッチを維持(「キャッチを維持する」とは、回転してないディスクを少なくとも 2 つの身体部分の間に挟み続けていることを意味する)できなかったとき、その最初のキャッチは無効とみなされる。

    選手はディスクを捕らえるために使っている体の部位を変えることができ、その変更の間、ディスクが少なくとも 2 つの体の部位によって挟まれ続けている限り、同じキャッチとみなされる(例えば胸と右手で挟んだ場合、左手でディスクの縁を掴んで胸から離すことができ、左手でディスクを掴み右手を離すだけである限り、同じキャッチとみなされる。)。

    1. 12.1.1. 選手がキャッチ後に地面、チームメイト、またルールに則ってポジションを確保している相手チームの選手と接触し、キャッチを維持できなかった場合、所有権は確立されなかったとみなされる。
      解釈:キャッチとの関連

      地面との接触や他の選手との接触は、キャッチした直後に起こるか、ディスクをキャッチするために飛び込んだ後に着地した結果であるか、ディスクをキャッチした後にバランスを崩している間に起こった場合、「キャッチに関連している」と見なすことができる。もし、例えばエンドゾーン内で走りながらキャッチをした選手がキャッチ後の最初の数歩で所有権を確立して、その後得点の喜びとして走り続けて躓いたならば、この結果で生じた所有権の消失は「キャッチに関連している」とはみなされないだろう。接触がキャッチに関連しているかどうかを見分ける一つの方法は、選手が動きを止めて自身の動きをコントロールすることを選択できたなら、それ以降の動作は、たとえ静止することを選択しなかったとしても、キャッチに関連していないことになるということである。

  2. 12.2. 所有権を確立した選手は、その後、スローワーとなる。
  3. 12.3. オフェンス側の選手とディフェンス側の選手が同時にディスクをキャッチした場合、オフェンス側の選手のキャッチが優先される。
  4. 12.4. ポジションを確保した選手はその位置に留まることができ、相手チームの選手はその選手に接触してはならない。
  5. 12.5. すべての選手は、ポジションを確保するために身体接触につながる動き(イニシエイト・コンタクト)や、無謀または危険で攻撃的な動きをしていない限り、相手チームの選手によって確保されていないプレイングフィールド上のどのポジションを確保してもよい。
    解釈:無謀な動き

    これは長時間自分の先をよく見ずに走ることやルールに則っている相手の動きに対して調整できないダイブも含まれている。

    1. 12.5.1. ただし、ディスクが空中にある場合は、相手チームの選手が誰もいないルートでディスクに対するプレイを行うことを妨害するためだけに動くことはできない。
      解釈:選手の位置

      事象:選手 A がディスクに対してプレイをしながら減速して相手がディスクに対してプレイすることを妨害するのは許されている。しかしながら選手 A は相手が合理的に避けることができないような動きをしてはいけない。- これはブロッキング・ファールになる(17.4)。

      軽微な身体接触はこのような状況で起きうるが軽微な身体接触はファールにはならない。

      補足:選手 A がディスクに対してプレイしていないが代わりにチームメイトにディスクに対してプレイをさせている場合、選手 A は相手を妨害するために動いてはいけない。しかしながら選手 A が静止しており、相手を妨害する意図がなければ実際に相手の邪魔になったとしてもバイオレーションとはならない。

      このルールのキーワードは「一人で」である。選手の動きの意図はディスクに対してプレイするための一般的な過程である限り相手がディスクへの無人の道を行くのを防ぐという動機もありうる。

      もし後ろに居る選手が前に居る選手にぶつかったら、ほぼ後ろに居る選手のファールである。

      ターンオーバー後、および/またはスローワーが軸の位置に居ないときは常に、オフェンスからディスクおよび/またはピボットの位置への道をディフェンスは遮らないようにしなければならない。

  6. 12.6. すべての選手は、身体接触につながる動きを避けなければならず、身体接触につながる動き(イニシエイト・コンタクト)を正当化する条件は存在しない。これには、静止している相手チームの選手との身体接触や、速度と方向に基づいて予想される相手チームの選手を避けることが含まれる。
    解釈:ディスクに対するプレイ

    ディスクが空中にあり、キャッチやブロックなど何らかの方法でディスクに接触しようとしているとき、「ディスクに対するプレイ」とみなされる(公式ルール 12.6)。

    ディスクにプレイするとき、選手はディスクへの接触を試みる前、途中、直後に、他の選手と軽微な身体接触(静止している位置でも、確立した速度と方向から予想される位置でも)をしないことを確認する必要がある。

    軽微な身体接触とは最小限の物理的な力で、他の選手の動きや位置を変えないような接触のことである。

    もし軽微ではない身体接触が発生して、違反がプレイに影響した場合、おそらくそのプレイの結果は成り立たないであろう。

    もし違反が起こらなかったら、特定のプレイの結果が明らかに異なっていたかもしれないと仮定するのが妥当な場合、違反はプレイに影響する。例えば、相手に重大な接触を引き起こさずにパスをインターセプトできなかった場合や、相手に接触を引き起こさなかったら相手がディスクにプレイできたかもしれない場合などである。

    何かがプレイに影響したかどうかを考えるとき、関係する選手の相対的な技術、身長、および/または運動能力は通常、考慮されるべきではない。

    解釈:相手に手をかける

    事象:ディフェンスの選手が相手を見ていなくても相手の位置がわかるように相手選手の背中へ手をかけておく。

    結果:これはバイオレーションである。

    理由:必ずしもファールとはならないが「選手が意図的に軽微な身体接触につながる動きをすることは反則だが、ファールではなくバイオレーションとして扱われる。」と公式ルール 15.1.1 の通りバイオレーションになる。

    解釈:ディスクが空中にあるときの選手のポジション

    事象:選手 A がディスクを追って、選手 B とディスクの間に留まることができるように速度を落とす。選手 B が選手 A の背中に突っ込み、転倒した。

    結果:選手 B の選手 A に対するファールである。

    理由:選手 A がディスクに対してプレイするために速度を落とすことは許されている。選手 B は合理的に選手 A を避けることができ、それゆえ選手 B のイニシエイト・コンタクトとなる。


    事象:選手 A がディスクを追って突然止まり、すぐさま引き返して、近づいてきているディフェンスの選手に向かって走った。

    結果:選手 A の選手 B に対するファールである。

    理由:選手 B は合理的に選手 A を避けることができず、それゆえ選手 A のイニシエイト・コンタクトとなる。


    事象:選手 A がディスクを追って、選手 B に回り込まれてディスクにプレイできないように速度を落として左右に動いている(例:ボックスアウト)。選手 Bが選手 A の背中に突っ込んだ。選手 A はディスクをキャッチした。

    結果:選手 B の選手 A に対するファールである。選手 A は所有権を得ているのでコールする必要がなく、もしコールをしてしまったのならば「プレイオン」とコールしなくてはいけない。

    理由:選手 A は選手がディスクに対してプレイするために動くことを妨げるために速度を落とすことは許されている。選手 B は合理的に選手 A を避けることができ、それゆえ選手 B のイニシエイト・コンタクトとなる。

    補足:選手の動きを妨げることとイニシエイト・コンタクトは異なる。

    軽微な身体接触はこのような状況で起きうるが軽微な身体接触はファールにはならない。


    事象:選手 A と選手 B は同じチームでディスクを追っている。選手 B が選手 C に回り込まれてディスクにプレイできないように速度を落として左右に動いている。選手 A はディスクをキャッチした。

    結果:選手 C は選手 A に対してバイオレーションをコールできる。

    理由:選手 B はディスクに対してプレイをしていない。選手 C はディスクに対してプレイをしており、それゆえ選手 B が動きを妨げることは許されていない。

    補足:選手 B が静止しているなら選手 C がディスクにプレイするのを妨害しているとしても、そこに留まることが許されている。しかしながら選手 B が腕を出して選手 C の妨害をする場合 – やはり選手 C の動きを妨害したと考えられてバイオレーションとなる。


    事象:選手 A がディスクを取るために静止して待っている。選手 B が選手 A に向かって走って飛んでインターセプトして、選手 A に衝突した。

    結果:選手 B の選手 A に対するファールである。

    理由:公式ルール 12.6 の通り、ディスクに向かってプレイをしたという説明は、イニシエイト・コンタクトを認める理由とはならない

    補足:ディスクにプレイしているとき、選手たちはディスクに対して接触を試みる前、途中、直後に、静止している場合は他の選手の位置、または確立した速度と方向と避けられない衝突を引き起こさないことを確認する必要がある。


    事象:選手 A がディスクを取るために静止して待っている。選手 B が走っていて、選手 A を避けるように飛んでパスをインターセプトした。そこで選手 A と選手 B が接触した。

    結果:選手 A の選手 B に対するファールである。

    理由:選手 A が動いている相手が避けることができない場所へ動いている。これはブロッキング・ファールである。

    1. 12.6.1. 「ディスクに向かってプレイをした」という説明は、身体接触につながる動き(イニシエイト・コンタクト)を認める理由とはならない。
    2. 12.6.2. 選手は自分がいる位置からダイブやジャンプをする前に、その動きによって相手との接触を引き起こさないことを十分に確信していなければならない。
    3. 12.6.3. 正当な動きをしている相手チームの選手よりも先に正当な動きをすることができると十分に確信できない場合には、身体接触が発生しないように自らの動きを調整しなければならない。その調整が行われた場合であっても、プレイの結果は変わらない。
  7. 12.7. 身体接触につながる動きをした選手とは、以下のような選手を指す。
    1. 12.7.1. 相手チームの選手がすでに正当なポジションを確保して静止している、またはポジションを確保するために移動している状態で、後からその位置へ到達した選手。
    2. 12.7.2. すべての選手のポジション、速度、方向を考慮した場合に合理的に動いていると考えられる相手チームの選手との不可避な身体接触を発生させるように自らの動きを調整した選手。
      Steinarのコメント(非公式!):Conflicting contact rules

      It would seem that 12.7.1 and 12.7.2 can both apply at the same time. However, if one is creating “unavoidable contact with an opponent” (12.7.2), one has not established a legitimate position, so in this case, 12.7.2 wins.

      There is much more to say on these issues, but I've generally deferred it to section 17 (on fouls) where more people will be looking for it.

    3. 12.7.3. どちらの選手が接触を引き起こしたかが不明の状況で、一方の選手が自分のいる位置からダイブやジャンプをした場合には、その選手が接触を引き起こしたものとみなされる。
  8. 12.8. プレイの結果や選手の安全に影響しない範囲の軽微な身体接触は、2 人以上の選手がある 1 点に向かって同時に動いた場合に起こりうる。軽微な身体接触は可能な限り避けるべきだが、ファールとはみなされない。
    解釈:1点に向かって同時に動く

    事象:別チームの 2 人がディスクに対してプレイするために 1 点に向かって同時に動いている。お互いの存在は気が付いており、軽微な身体接触が起こりうると認識している。軽微な身体接触が発生した。

    結果:接触は発生しているが、必ずしもファールとはならない。

    理由:他の選手に明らかにイニシエイト・コンタクトをしている状況で、イニシエイト・コンタクトした人はファールを起こした人になる(つまり、ある選手が静止しているところに他の選手がぶつかったり、ある選手が明らかにあるスペースの権利を持っているのに相手が方向を変えて避けられない形でその空間を妨害したりという状況)。しかしながら双方の選手がスペースの権利を持っていて、どちらの選手もイニシエイト・コンタクトとみなされないことがある。この状況で、軽微な身体接触(選手の肩や腰を押す等)が発生した場合、必ずしもファールとはならない。これは双方の選手に接触を引き起こした責任があり、接触が起こるかもしれないと認識していたため。

    • シナリオ1:双方の選手が接触を引き起こしたが、軽微な身体接触のみが発生した。結果:
      結果:プレイの結果は成立する。
    • シナリオ2:双方の選手が接触を引き起こしたが、身体接触は軽微ではない(転倒させてしまった)。
      結果:双方の選手によるファールでオフセッティング・ファール(17.9.2)として扱われる。ディスクはスローワーに戻される。
    • シナリオ3:双方の選手が身体接触を引き起こしたが、軽微な身体接触のみが発生した。しかし、1 人の選手はディスクに向かってプレイしている相手の腕に当たった。
      結果:双方の選手が身体接触を引き起こしているが、腕にイニシエイト・コンタクトした選手がファールの原因となり、これは軽微な身体接触ではない。

    補足:これらのシナリオは双方の選手同時に接触を引き起こしたときだけ考慮されるべきである。もし一方の選手が明らかに接触を引き起こしたのなら、その選手がファールを引き起こしたことになる。

    もし接触が起こりそうであると選手が認識していない場合、接触が起こると認識した他の選手は接触を避け、適切であればデンジャラスプレイのファールをコールするべきである。

    公式ルール 17.9.2.1 に従って、ディスクがキャッチされた後、または関係する選手がディスクに対してプレイができなくなった後にこのファールが発生した場合は、インダイレクト・ファール(17.1 に関連する身体接触は除く)として扱わなければならない。

    このような出来事に関与した選手は、しばしば誰がイニシエイト・コンタクトをしたかについて最もよく見える位置ではないことを心に留め、近くの選手にその見解を求めるべきである。

  9. 12.9. 相手チームの選手の動きを妨害するために、伸ばした腕や脚を用いることはできない。
    Steinarのコメント(非公式!):Principle of verticality

    USAU rules include a “principle of verticality” in that players have special rights on the area above their torso. WFDF has no such rule, and this is governed mostly by the normal foul rules; however, 12.9 takes on one task that would be covered by this principle. Namely, you cannot hold your arm over someone (e.g., their shoulder) to prevent them from legally jumping.

  10. 12.10. いかなる選手も、他の選手の動きを物理的に補助したり、ディスクに触れることを補助する目的で用具やその他の物体を使用したりすることはできない(例:チームメイトを持ち上げる、帽子でディスクを落とす等)。
    解釈:選手の動きの補助や用具の使用

    オフェンスの他の選手が物理的に補助したり、ディスクとの接触を補助するために用具を使用したりした場合、これはターンオーバーとなる。- 公式ルール 13.2.613.2.7 参照。

    もしディフェンスの選手が物理的に味方の動きを助けたり、ディスクとの接触を助けるために用具を使ったりしたら(例:ディスクの方向に帽子を投げる)、これはバイオレーションである。キャッチしようとしたレシーバーに所有権が与えられるべきである。

    Steinarのコメント(非公式!):Wall jump

    Likewise, one should not jump onto a nearby wall (which often exists in tight indoor spaces, where the regular 3m buffer zone might not be available) to try to reach the disc. For one, it would be out-of-bounds if done by an offense player, since ground is defined to include walls (after a wall-jump incident in European indoors club). But even for defense players, it's probably not within the spirit of the rules and possibly unsafe.